進学準備編(22)新課程2年目! 2026年度大学入試共通テストの主な変更点と準備のポイント

2022年度から実施された高等学校の新学習指導要領に合わせて、2025年度に数多くの点が変更された大学入試共通テスト(以下、共通テスト)。改めて変更内容を確認しつつ、新課程2年目となる2026年度は、さらに追加でどのような変更が行われるのか紹介します。
●再確認 2025年度共通テストで変更された点は?
2024年度までは、受験科目が 6教科30科目でしたが、2025年度からは7教科21科目に再編され、新教科「情報Ⅰ」が追加。これにより、従来の5教科7科目900点満点から、6教科8科目1000点満点となりました。各科目における変更点についても、改めて確認しておきましょう。
※点数満点(1000点)や必須科目数は大学・方式により取り扱いは異なります
・情報(情報Ⅰ):新教科として導入
情報は前述のとおり、2025年度から新設されました。主に「情報社会の問題解決」「コミュニケーションと情報デザイン」「コンピュータとプログラミング」「情報通信ネットワークとデータの活用」に関して、情報社会に必要とされる知識や技能、考察力などを問う問題が出題されました。
・国語:大問「実用的な文章」を追加、試験時間を10分延長
現代文において、大問が2つから3つに変更されました。「論理的な文章」「文学的な文章」のほか、新たに追加された「実用的な文章」から3つ出題されます。また、試験時間が80分から90分に変更されました。
・数学②:出題範囲を拡大、試験時間を10分延長
「数学②」の出題範囲(数学II・数学B)に「数学C」が加わり、選択する項目数が2題から3題に増えました。それに伴い、試験時間が10分延長され、70分になりました。
・地歴・公民:科目選択の組み合わせを再編
従来の10科目から6科目に再編されました。これまで地理歴史は「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」、公民は「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」から選択する形になっていました。2025年度からは「地理総合、地理探究」「歴史総合、日本史探究」「歴史総合、世界史探究」「地理総合/歴史総合/公共(いずれか2分野の内容を選択)」「公共、倫理」「公共、政治・経済」から最大2科目を選択するようになります。
・理科:基礎科目がまとめられた
4つの基礎科目(物理基礎・化学基礎・生物基礎・地学基礎)が1科目にまとめられました。ただし、基礎科目はそのうち2分野を選択して解答するため、科目の選択方法は従来と変わっていません。
・英語:科目名称の変更のみ
「コミュニケーション英語Ⅰ・コミュニケーション英語Ⅱ・英語表現Ⅰ」の名称が「英語コミュニケーションⅠ、コミュニケーション英語Ⅱ、論理・表現Ⅰ」に変わりました。内容は特に変更されていません。
参考:独立行政法人大学入試センター 令和8年度大学入学者選抜に係る 大学入学共通テスト実施要項
●2026年度共通テスト全体像の変化 ~WEB出願がスタート~
続いて、2026年度共通テストにおける変更点を紹介します。科目構成・出題範囲・試験時間・配点などについては、2025年度と同様です。科目構成は昨年同様の7教科21科目。出題範囲や科目選択方法等は変更がありません。大きな変更ポイントは、出願方法が2026年度から原則WEB出願になることです。
※ネット環境が使えない志願者は申出・許可で郵送可能
2025年度までは、現役生は高等学校を通しての出願、浪人生は個人で出願書類を郵送するという出願方法でしたが、2026年度はいずれも受験生自身によるWEB出願を行う形式に変更されました。その手順を簡単に説明します。
① 専用サイトにマイページを作成
まず、インターネット上の専用サイトにメールアドレス等を登録し、マイページを作成します。
② マイページから出願
作成したマイページに、志願者の情報、受験教科・科目、検定料等の支払方法等を登録して出願します。顔写真データのアップロードも必要です。登録後、検定料等の支払いをもって出願が完了します。
③ 出願内容の確認等もマイページ上で行う
出願内容の確認や訂正も、マイページ上で行います。
④ 受験票の取得もオンラインで
出願が受理されると、その後、受験番号や試験場等が記載された受験票が発行されます。マイページ上で取得し、自身でプリントアウトして会場へ持参しましょう。
※これまでは教員が不備をチェックしていましたが、今後は生徒個人の責任となります。そのため、保護者の方も内容に誤りがないか一緒に確認しておくと安心です。
出展:独立行政法人大学入試センター 令和8年度 大学入学共通テストQ&A
●準備で押さえておくべきポイント
2026年度共通テストで失敗しないために、次のポイントをおさえておきましょう。
・2025年度共通テストをもとに、出題形式を把握する
2025年度の共通テストや追試問題を実際に解くことで、出題形式やボリューム感を事前に把握することが必要です。内容に応じた対策を行いましょう。
・志望大学の「情報Ⅰ」の配点の変化を確認する
「情報Ⅰ」については、導入されたばかりの2025年度時点では「受験必須だが配点0」としていた大学もありましたが、2026年度から「配点あり」に変更する場合もあります。改めて志望する大学の募集要項を確認しましょう。
・WEB出願の期日や方法を確認する
WEB出願に変更されたことにより、出願内容の入力、確認、修正などの全ての作業が受験生本人の責任となります。入力ミスがないよう、入力後には再度一つ一つの項目を見直しましょう。
・受験科目の組み合わせが適切かを確認する
「地歴・公民」や「理科」の2科目選択ルールを間違えると、志望大学の受験要件を満たさない可能性があります。自身が受験しようとしている科目で誤りがないか、チェック必須です。
●旧課程履修者への経過措置はある?
2026年度共通テストにおいては、過年度卒業者等に対する経過措置は行われません。現役生と同じ条件で受験することとなります。
●まとめ
2026年度共通テストでは、出題教科・科目や試験方法については2025年度共通テストから変更がありません。まずは2025年度共通テストの際の変更点をしっかり把握しておくことが大切です。一方で、出願方法が変更され、2026年度から原則WEB出願になります。科目の選択などに間違いが無いよう注意が必要です。これらを踏まえて、慎重に受験準備を進めていきましょう。