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進学ことはじめ

マネー&ライフ編(15)仕送り・バイト・奨学金のバランスの取り方は? 学生のお金事情と“リアル”な生活設計

2025/10/30
マネー&ライフ編(15)仕送り・バイト・奨学金のバランスの取り方は? 学生のお金事情と“リアル”な生活設計

大学進学を控えているなら、入学後の生活に必要なお金についても考えておきたいもの。特に、親元を離れて一人暮らしを始める場合、学費に加えて月々の生活費の負担は決して小さくありません。経済的に安定した大学生活を送るために、どのような心づもりが必要かを紹介します。


● 進学前に知っておきたい「お金の3本柱」

大学生の収入源は主に「仕送り」「アルバイト」「奨学金」の3本柱です。保護者からの支援(仕送り)を軸に、本人の勤労報酬(アルバイト)、社会的支援(奨学金)を適切に組み合わせることで、大学生活を経済的に安定させることができます。


● 最新データで見る大学生のリアル

まず、大学生に必要な生活費はどのくらいなのかを把握しましょう。

◇自宅生と下宿生の生活費

日本学生支援機構(JASSO)が実施した「令和4年度 学生生活調査」によると、大学学部・昼間部の学生1人あたりの月平均生活費(JASSO公表の年間額を12で除した参考月額)は次のとおりです。※学費は含んでいません


当然ながら、自宅通学生に比べて、一人暮らしの学生は住居・光熱費や食費の負担が大きいです。特に都市圏の場合は、地方に比べてより家賃が高いため、その分住居費が上がりやすいでしょう。

出典:「令和4年度 学生生活調査」(日本学生支援機構)

◇奨学金利用率の推移

日本学生支援機構の調査結果を見ると、奨学金の利用者の割合は、昼間部の大学生で55.0%、昼間部の短期大学生で61.5%です。前回調査と比べると、利用率は増加しています。

出典:「令和4年度 学生生活調査」(日本学生支援機構)


● バランスの取り方1:「仕送り=固定収入、アルバイト=副収入」と考える

大学生の生活費のうち、住居費や食費などの固定費については、保護者からの支援である「仕送り」でまかなうのが理想です。そして、アルバイトは「副収入」と位置づけ、交際費、娯楽費など、余暇を楽しむための費用に充てるのが、バランスの良い配分といえます。

日本学生支援機構の調査では、一人暮らしをしている大学生(昼間部)への平均仕送り額は月額約113,910円となっています。また、大学生(昼間部)全体の約83.8%がアルバイトをしており、収入は月に平均約31,330円です。

出典:「令和4年度 学生生活調査」(日本学生支援機構)

◇学業との両立に注意

生活費の不足や、交際・娯楽にかかる費用をまかなうために、アルバイトの数を増やしてしまう学生もいます。しかし、働きすぎると学業との両立が難しくなり、結果的に単位を落としてしまい、最悪の場合は留年してしまう恐れがあります。そのような事態を避けるためにも、収入と学業のバランスを意識して行動することが大切です。

◇学費アップの影響で仕送り金額を減らす家庭もあり

昨今は、大学の学費が上がっている傾向があるため、保護者の金銭的負担も大きくなっています。そのため、仕送り額を減らしている家庭もあるでしょう。ただ、中には少ない仕送り金額の中で「お金のやりくり」「勤労」を経験させ、生活設計力や社会性、金銭感覚を養わせようと考える家庭もあるようです。家計簿アプリで収入と支出を管理し、限られたお金を適切に使う力を身につけておくと、社会に出てからも役立ちます。


● バランスの取り方2:奨学金は“将来の返済”までイメージを

家庭の事情により仕送りでは固定費(住居費と食費)をまかなえない場合、奨学金制度を利用するという方法もあります。

◇日本学生支援機構(JASSO)の奨学金について

日本学生支援機構は、文部科学省が管轄する独立行政法人です。憲法や教育基本法に定める「教育の機会均等」の理念のもと、経済的理由で修学が困難な優れた学生等に対して学資の給付や貸与を行っています。なお、日本学生支援機構の奨学金は、「給付奨学金」と「貸与奨学金」の2種類があります。

① 給付奨学金
返済の必要がない奨学金です。世帯収入と学業成績の基準を満たせば利用することができます。

② 貸与奨学金
卒業後に返済が必要です。利子の付かない「第一種奨学金(無利子)」と、低利子で借りられる「第二種奨学金(利子付)」があります。また、入学時の一時金として貸与する「入学時特別増額貸与奨学金(利子付)」もあります。いずれも、世帯収入と学業成績の基準を満たせば利用することができます。

調査によると、給付奨学金に比べて、貸与奨学金の受給者の方が多いという結果となっています。

◇保護者と一緒に返済計画を立てる

貸与奨学金は、卒業後に返済が必要となります。そのため、利用にあたっては、借入総額と返済期間をしっかり把握することが大切です。

奨学金の返済は、貸与終了(大学卒業)の翌月から数えて7カ月目に開始されます。返済の月額や期間・回数は、受給総額や返済方式によって異なりますが、例えば毎月3万円の無利子奨学金を「第一種(無利子)・定額返還方式」で4年間受給(総額144万円)した場合、毎月約9,230円を13年間(156回)で完済することが求められます(繰り上げ返済も可能)。

貸与奨学金の申請は、学生本人だけの判断で行わず、親子で返済のシミュレーションをしっかり確認したうえで、必要最低限の金額を受給するようにしましょう。


● まとめ

大学時代は、学業を修めることに加え、お金にまつわる社会経験を積む機会でもあります。家庭の事情に合わせて、仕送り・アルバイト・奨学金という3本柱を適切に組み合わせ、経済的に安定した大学生活を送れるよう、入学前から情報を集めて計画を立てましょう。