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進学ことはじめ

進学準備編(18) 他大学の授業を履修し単位が取得できる「単位互換制度」について

2021/12/27
進学準備編(18) 他大学の授業を履修し単位が取得できる「単位互換制度」について

大学の授業は自分の所属する大学で受けることが原則ですが、文部科学省は教育内容の充実に資するために他大学の授業を履修し、単位が取得できる「単位互換制度」を設けています。多くの大学がこの制度を導入しており、うまく活用すれば知識の幅だけでなく、人脈なども広げられるメリットの多いものです。事前にチェックしておきましょう。


●単位互換制度とは

単位互換制度とは、他大学の授業で修得した“単位”を、自分が所属する大学の履修(学修)単位として認める制度です。大学では授業を履修し一定の成績を修めると、授業ごとに”単位”が付与され、その修得数によって進級や卒業の可否が決まります。医学または薬学など一部の学部を除き、4年制大学の場合、卒業に必要な単位(卒業所要単位)は124単位以上と定められており、学生はこの単位数を目指して履修科目を選択する必要があります。その際、自分が所属する大学の授業を選ぶのが原則ですが、単位互換制度を利用すれば、他大学の授業で取得した単位も卒業所要単位として認められるのです。

ただし単位互換制度を利用するには制限があります。まず、単位認定を受けられるのは、所属大学が単位互換制度の協定を結んでいる大学の授業のみです。文部科学省が発表した調査結果によると、国内大学との単位互換制度を実施している大学は、全体の81.8%(令和元年度)となっており、多くの学校が実施していることが分かります。

また、大学設置基準第28条によって、単位互換制度による修得単位数の上限は60単位までと定められています。その他にも、大学によって年間や学期ごとの上限単位が設けられているケースもあるので注意しましょう。

<参考>
文部科学省「令和元年度の大学における教育内容等の改革状況について(概要)

大学設置基準
https://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000949.html


●単位互換制度を利用するメリット

単位互換制度を利用すると、次のようなメリットが得られます。

・履修科目の選択肢が増え、より幅広い分野の知識を深められる

大学は学習内容の専門性が高く、開設されている学科や講義、取り組んでいる研究内容などは、大学ごとに特色があります。他大学の授業を受講することで、異なる分野の知識を得たり、同じ分野であっても、大学や教授によって視点が異なったりするため、自分の学びのニーズに合った知識を多角的に深めることができます。

・著名な教授の講義が受けられる

メディア露出や、本を出版しているような、著名な講師の授業が開講されている場合があります。他大学に在籍していても、単位互換制度を利用すれば、そのような講師の授業も受けることが可能です。

・他大学の雰囲気が味わえ、人脈が広がる可能性もあり

他大学で開講されている授業を受ければ、履修上必要な施設を利用できるため、普段とは違う校風を楽しめるでしょう。また、他大学の講師や、学生と交流が生まれ、人脈が広がるきっかけにもなるかもしれません。


●単位互換制度を利用する際の注意点

単位互換制度を利用して遠方の大学に通うとなると、交通費がかかることを忘れてはいけません。基本的には毎週授業があるので、往復の移動時間も含めて負担となることがあります。事前によく確認しましょう。


●岡山県内の大学の場合

単位互換制度として岡山県内では「大学コンソーシアム岡山」という事業が設けられています。18大学が加盟しており、4年制の大学では16の大学が参加大学間で互いに学生を受入れ、それぞれの受入大学において修得した単位が所属大学の正規の単位として認定してもらえます。授業料は所属大学に納入する授業料が充てられるため、無料です。出願方法・履修手続きについては、所属大学の担当窓口にて所定の期間内に出願書類を提出します。2022年度の申込受付期間は、前期が3月4日(金)~4月7日(木)、後期が7月1日(金)~9月22日(木)ですが、こちらはあくまでも目安で、各受け入れ大学によって時期が異なる場合がありますので、大学コンソーシアム岡山のWEBサイトからシラバスを確認しましょう(WEBサイトに掲載される2022年度のシラバスは、2022年2月末頃に差し替えとなる予定です)。なお、授業区分は所属大学と受け入れ大学で異なる場合がありますので、所属大学に確認が必要です。授業の形式については、大学や大学外の諸施設へ出向いて受講する“対面型”のほかに、自分の大学からライブやオンデマンドで受講する“遠隔型”も実施されています。また、加盟大学の科目だけでなく、企業などと共同で“コーディネート科目”も開講されています。
最後に、コロナ禍等の影響により、対面授業がオンライン授業になる、または開講されなくなるなど、内容が変更となった場合には、WEBサイトに情報が公開されますので、こまめにチェックすることをオススメします。

<参考>
大学コンソーシアム岡山(大学生の皆様へ)
https://www.consortium-okayama.jp/university/index.html


まとめ

単位互換制度は、教育内容の豊富化や多様なニーズに対応し、幅広い知識を深められる魅力的な制度です。興味がある人は、受験前に志望大学でこの制度が利用できるか確認しておきましょう。