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進学ことはじめ

進学準備編(17) 進学における“ニューノーマル” コロナ禍で変わったこと

2021/08/11
進学準備編(17) 進学における“ニューノーマル” コロナ禍で変わったこと

新型コロナウイルスの感染リスクを下げるため、国は「新しい生活様式(ニューノーマル)」を示しました。それに伴い、高校生の皆さんにおいてはオンライン授業や友人との連絡手段等としてICT(情報通信技術)を活用する機会が増え、ニューノーマルを実感しているのではないでしょうか。
進学についても例外ではなく、2020年以降、その形式は大きく変わり、受験生の進路選択にも影響していることが分かってきました。今回は、コロナ禍における「進学に関する変化」について紹介します。


●コロナ禍での進学先選び

コロナ禍で2020年春以降、オープンキャンパスや学校説明会、個別相談会などをオンラインで開催する学校が急速に増えてきました。オンラインであれば、どこに住んでいても自宅から気軽に参加できるというメリットがあります。また、単に校内の施設を見て回れるだけでなく、講義などを見学できるケースもあるようです。

一方で、直接対面できないことから「個別の相談がしづらいのでは…」と思う人がいるかもしれません。しかし、電話やメール、Zoom、LINEチャットなどを活用した予約制の個別相談会を設けている学校も存在します。オンラインであれば、周囲の目も気にならないため、個人的な相談も積極的に行いやすいでしょう。
ただし、オンライン上で学校の様子を見ただけでは、実際の雰囲気を肌で感じることができないため、その学校が自分に合っているかどうかを直感的に判断しにくいという懸念点があるのも事実。その点、電話やZoomで行われる相談会は、教員や先輩の生の声が聞ける貴重な機会。開催される場合は積極的に参加を申し込みましょう。なお事前予約が必要なケースもあるので、早めに確認しておくと安心ですね。


●地方・地元志向の高まり

「新型コロナウイルス感染症による高校生・大学生の人口移動への影響に関する調査」によると、東京圏以外に住む、高校在学中および大学受験準備中の受験生のうち、28.1%が新型コロナウイルス感染症によって進路を変更したと回答。そのうち24.4%が、浪人を回避するために受験校のランクを下げ、21.3%は東京圏から地方圏へ受験校を変えると回答しました。具体的な進路の変更理由としては、都市圏を中心に感染者が増加している新型コロナウイルス感染症への不安や、経済的な事情などが挙がりました。
また、現役大学生・専門学校生等に対して行われた大学・専門学校等での授業の実態に関する調査では、首都圏・関西圏の90.4%にのぼる大学が、リモート授業を全授業もしくは併用で実施していることが明らかになっています。こうしたリモート授業が今後も継続された場合、地域出身者の19.5%が「出身地から通学する」と回答。今後、自宅でのリモート授業と併用しながら必要な時だけ学校へ通えるように、自宅から通学可能なエリア内で進学先を選ぶケースが増加する可能性も考えられます。

参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「新型コロナウイルス感染症による高校生・大学生の人口移動への影響に関する調査」(2020年11月実施)


●総合型選抜、学校推薦型選抜の面談について

2020年5月、文部科学省が総合型選抜や学校推薦型選抜について「オンラインでの個別面接やプレゼンテーション」「大学の授業へのオンライン参加とレポートの作成」「実技動画の提出」など、入学志願者の進学の機会を確保し、一人一人が安心して受験に臨めるよう、選抜方法について配慮を求める通知を全国の大学に送ったことにより、昨年からオンライン面接を導入する大学が増加しました。その多くは面接のみの実施ですが、なかには口頭試問や実技などを行う学校もあるようです。

オンライン試験であれば、受験生は遠方の試験会場まで出向かなくて済むため、移動時間や交通費・宿泊費を節約できます。また、交通トラブルなどによる遅刻のリスクもなくなります。

一方、通信機器の準備や通信環境の整備、通信トラブル時の対応などは各自で行わなくてはなりません。パソコンの場合は有線LANケーブルでインターネットに接続できる場所があると安心です。用意できない場合は、電波が安定して強い場所を探しておきましょう。スマートフォンを使用する場合は手で持ったままだと揺れることがあるため、固定できるようにしておくと安心です。背景が映ってしまう場合は、片づけておいた方が好印象です。また、場所によっては周りの音声も拾ってしまう可能性があるため、自宅であれば家族の協力を得て、静かな個室を確保し、スマートフォンなどの通知音にも気を付けましょう。

機器の準備としては、カメラ付きのパソコンやタブレット、スマートフォンなどが必須です。また、オンライン面接に使用されるアプリは、Zoomをはじめ、Teams、GoogleMeet、LINEのビデオ通話など大学によって異なるため、各種アプリのインストールも行う必要があります。初めて使うアプリは事前に使用し、慣れておきましょう。

なお、先述した文部科学省が大学に送った通知には、”ICT の活用に当たっては、志願者による利用環境の差異や技術的な不具合の発生等によって、特定の志願者が不利益を被ることのないよう、代替措置などの配慮を行うこと”、と記載があるため、オンライン環境が整わない場合などには、事前に大学へ相談してみましょう。


まとめ

前例の少ないオンラインでのオープンキャンパスや面接においては、不安やとまどいを感じることも多いかもしれません。しかし、他の受験生も同じはずです。自信を持って当日を迎えられるよう、事前準備をしっかり進めておきましょう。